>Octolibreが新たに考案した演劇イベント『2H ACT』は15分〜20分程度の短編作品をその名の通り“2時間以内”にどこまで形にできるのかをお客様にご覧いただくという企画です。本読みだけではなく立ち稽古・粗通しにまで発展させることを目指して、ご覧いただいたお客様に“演劇が立ち上がる瞬間”を目撃していただき、より一層演劇に興味を持っていただくことを目的としています。

Octolibreの2H ACTを見に市ヶ谷へ。この公演を知ったのは今Tropicで”モグラ君”を描いている芦沢ムネトさんが出演するという彼のツイートを見かけ、なにやら面白そうな公演だと思い行くことに。こういうときの私はチケットまずとってから公演の詳細を確認する。(この癖のお陰で福岡に飛ばされた経験アリ◎)後日ユニットの歴史や本公演で出演するキャストを確認していると驚きの事実が!?自身がドハマリしている忍たま乱太郎のミュージカル作品に出演経験があり、最近も出演作を見返していた秋沢健太朗さんの名前があった。まさかこんな事が起こるとは。お陰さまで公演前2週間はずっと芦沢さんのコント&ラジオ配信と秋沢さんの映像作品のループ♾️

そもそもOctolibreとはなんぞやということなのですが、俳優・演出家の須賀健太と俳優・プロデューサーの桧山征翔が立ち上げた演劇ユニットで前回公演がユニット初の公演だったらしい。ちなみに前回公演は”本読みイベント”が行われていた。


本公演は2時間で15分の演劇を仕上げるという場面をみせてくれるということで、普段役者さんや演出家、脚本家がどのように作品を作り上げているのかを見れるので公演前から楽しみだった。
果たしてどんな公演になるのだろうか?
観客にも演者が見る台本を事前に配られているのだが、私は役者さんたちが台本に初めてのせる演技を楽しみたいという気持ちがあったので事前には確認せず始まるまで楽しみに待つことにした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ここからは素人の私が分かった範囲でのこの公演での演劇の仕組みを話しつつ、各所の魅力について語ろうと思う。

本公演は昼の部、夜の部で分かれておりそれぞれ別の台本が用意されていた。
昼の部は「チャレンジャー」というコメディー調で笑える台本
夜の部は「ひとりごと」というほんわかしてるところにシリアスも交わる台本
というような感じだった。出演者曰く昼の部はかなりカロリーが高かったらしい。

まず流れは大きく分けて3段階に別れていた。私は演劇をやる側にたった事がないので流れも知らずに見ていたのですが、とってもシンプルな流れだと思った。
1、本読み
2、立ち稽古
3、通し

1、本読み(30分ほど)
役者には事前に台本を配られていたが、楽屋ではあまり内容は確認してはいけないという暗黙の了解的雰囲気が流れていたとか、、笑 事前に誰がどの役をやるのかは決まっていなく、本読みの時点で配役が発表されていた。本読みでは全員座ったままで台本を読んでいくのだが、ト書き(台本上の説明文)をセリフ調で読むのはなんだか新鮮だった。また、役の細かい設定をここで詰め、重要なシーンの確認もあった。本公演が2Hという制限時間があったため、夜の部では全部を通さず登場人物のキャラが特に極立っている部分を読み合わせキャラを深掘りをしていた。そこ以外の部分を読み合わせしないで不安とかはないのかなとか勝手ながらに思った。

2、立ち稽古(1時間ほど)
1回流れで本読みが終わるといよいよ立ち稽古に移っていく。ここでは位置関係の確認や細かい演出が演出家である須賀さんの手で付け加えられていった。昼公演だけでいうと小道具が多く、持ち方や使い方など細かい部分にもこだわりを感じられた。あとは、立ち稽古の時にSEをつけるのは意外だった。脚本の時点でついているものだとも思っていたので自分が今まで書いてきた台本のあり方と違うと思った。夜公演は小道具こそ少なかったがそれぞれの役に移動が多かったため位置関係や動線の確認が多いように見られた。また、夜公演の方が長尺だったのかかなり飛ばし飛ばし合わせをしていた印象。
本読みでも台本への書き込みが多かったが立ち稽古ではそれ以上に書き込むことが増えていた印象。というか、私も役者さんと一緒になって台本に書き込みを入れていたから書き込みが多くなっていただけで、やはり役者ともなると動きとその繰り返しを行いながら覚えているようで書き込みよりも動きを何回かすることで覚えているような印象も受けた。演出家の意見を取り入れつつ、役者自身の意見も織り交ぜ舞台を完成させていくってこういうことなんだというのを身で感じた。演出家が一人の役者に演出をつけている時に他の役者が自分たちで話し合いながら演技を高めあったりする一方で、身体が固まらないようにストレッチをしたり発声したりしている様子も稽古あるあるらしく面白かった。

3、通し(20分ほど)
立ち稽古が終わるといよいよ通し。そして本公演でいうと仕上がりの部分と言えたであろう。立ち稽古でやってきたことをここに注ぎこみ2H以内に完成させることができたのかというのを役者と演出家が緊張感を持って挑んでいた。ここでは、立ち稽古のちょっとした和やかな空気感と打って変わり本公演さながらの緊張感が流れていた。両公演とも2H以内に通しをすることができ客席からは拍手が鳴り止まない感動が生まれていた。

最初こそ2Hで演劇を作る難しさが全くと言ってもいいほど分からなかったが、タイマーが刻一刻と時間を刻み、台本に演出がついていないページ数を見ると何だかこちらもヒヤヒヤしていた。そんな中でも2公演とも時間内に通しまでいけるのはシンプルにすごい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

こんな流れで公演はあったのだが、この公演の何がすごいって役者さんの演技力とそれをまとめる演出と大前提としてのストーリーの面白さ。当たり前と言われればそれまでですが、とにかく役者さんの楽しませる演技力というものと作り上げる演出力、物語の世界に引き込むストーリーの強さの相乗効果がすごかった。語彙力が無さすぎてこんなことしか言えないけどとにかく面白くてすごかった。ということで素人目線で各所の何がすごいのかっていうのをザッと書いてみる。

役者(あいうえお順)
秋沢健太朗さん
表現の引き出しが無限。「へぇー」一つに何パターンあるんだ!?ってくらいポンポン出てくる。キャラの落とし込みも早く、人一倍キャラの深掘りに入るのが早い印象があった。自分が思うキャラを台本に落とし込んだ上で演出家からの提案も入れ込んでいく作業を生で見ていてすごく細部にもこだわりを持っている方だと思った。そもそもの台本の上に秋沢さんのエッセンスが加わるのが面白く、周りもそれに乗り世界観が作り込まれていくのが楽しかった。

小坂涼太郎さん
役作りの飲み込みがはやい。鬼ほど早い。他の役者がちょっと「???」な時も「できます!」感と感だけじゃない表現力がすごかった。特に夜公演は難しいであろう配役だったことに加え、時間の制限もあり満足とは言えない立ち稽古で通しを迎えたのですが、その状況を苦とは思っていないというか観客を泣かせにいっている演技は本公演で初見だったら号泣ものだった。実際に周りの観客の中にも泣いている人がちらほらいたり、役者同士でも涙を流している人もいたりとグッとくるものがあった。泣けるけど温かみを感じられるような演技だった。

桧山征翔さん
少しテンパりながらも最後には奥深い演技をする印象。テンパりながらというのは、今回の公演の企画内容も初の試みということで緊張をかなりしていたらしい笑 昼の部はかなり演出の須賀さんに厳しく指導されていたが、通しになるとナチュラルにその役に入りきれているのが不思議なものだ。夜の部での配役はおじいちゃんということで杖をつきながら舞台になっていたのだが、立ち姿がおじいちゃんすぎた。また、桧山さん演じるおじいちゃんの他二人と同時に同じセリフを繰り返す役だったのだが、いざおじいちゃんにフォーカスを当てられた時に役をじわっと際立てる演技が私的にとても目が惹かれるものがあった。

前川優希さん
どんな役でもそつなくこなす。本読みが始まった時点でちゃんとキャラが自身に落ちているように見えた。ちょっと気だるそうな役柄であったのだが、それがものすごくナチュラルだった。自分の役がどこで目立つのか重要なセリフがどこなのかをナチュラルに観客に伝えているなと感じた。両部とも少し似たような役である印象だったが、それはナチュラルにハマり役だったからだったから??昼の部の「チャレンジャー」での8年間ヒーローとして過ごしてきて辞めようとしてるのにちょっと影響受けているっていう影響の受け具合の塩梅とかもすごく良かった。

松井勇歩さん
稽古場の雰囲気作りと演出の先回りをした対応力。本読みの時は淡々と自分の役と向き合っている印象だったが立ち稽古になると積極的に動きを入れたり小道具を動かしているような印象。立ち稽古中にちょっとしたノリを入れるのも場が和んでいて雰囲気が良くなっていた。それによって一気に舞台上が台本の世界になり、そこに演技が組み合わされることで観客に世界観を伝えることができていたと思う。あとは、夜の部では3人同時に同じフレーズを繰り返すという役の一人を配役されていたのだが、自分の役を真っ当しつつ他の出演者も邪魔しない声のボリューム調整が絶妙だなと思った。また、ミュートの演技で身振り手振りだけで役柄がわかるような表現は目を引いた。

生演出    須賀健太さん
2H以内にまとめ上げる時間配分と自分が演技をして演出をつけるのがすごいと感じた。俳優として活躍しているイメージが強かったがその経験あっての演出ということもあり他の役者にも自分のイメージが伝わりやすい形で演技のディテイルをつけているので役者側の飲み込みも早かったように見えた。演出家が役者さんのいいところももっと高められるところも素直に伝え、その場にいる全員がやる気になれるのがとても良い稽古場だと思った。昼の部はかなり役者側の意見を取り入れていくような演出で夜の部では演出側のこだわりをふんだんに入れていく演出の両方を見れてとても興味深かった。

脚本・MC    芦沢ムネトさん
本当に脚本が面白い。両部とも脚本は芦沢さんだったのだが、内容の昼夜の温度差がすごい。昼はコメディ全開で夜はシリアス混じりという真逆と言っていいほどの脚本を書けるのは何故なんだろう。舞台上ではMCとして活躍していたのですが、観客が分からないだろうという”稽古中のワード”や”あるある”の説明をいいタイミングでしてくれるのがとてもありがたかった。立ち稽古の途中で手持ち無沙汰になってしまった役者に喋りかけ場を回しているのもとても好感が持てたし、そこで役者の稽古中の感想や心境を聞けたので嬉しかった。舞台の脚本はコント台本とは違うらしいけど何が違うんだろうか?話ではコントはボケを中心にして考えているみたいだったけど、、。

アシスタント    仏淵和哉さん
本読みのト書き・ナレーションがスムーズだったのと舞台上での動きが役者に邪魔にならないけど自分がする動きをちゃんとこなしていた。アシスタントとなったらなんだか動きに躊躇してしまいそうな印象があるけどむしろそれが邪魔になってしまう時とかがあるけど、そこで自分がやるべき動きを躊躇いなくできるのはプロだと思った。あと、本読みをしている時の声がめちゃめちゃ良くて物語の動きがすんなり頭の中に入ってきた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここまでパート分けして書いてみたが、自分的なことも含めまとめずに感じたものを書かせて欲しい。

私自身は芝居経験もなければ演劇の演出経験もなくてこの公演がそもそもどんなことが行われるのかわからず、純粋な好奇心だけで観に行ったのですがその好奇心にますます磨きがかかるように今回の公演から色々なことを勝手に吸収できた。

”舞台の全部を見せますよ(ニュアンスですが、、)”っていうのがこの公演の見どころだったと思う。っていう視点で見てると「小道具が見えずらい」とか「役者がある位置で屈んだり座ると見えづらい」みたいのも面白いというか許容範囲内というか。きっとこれがブラッシュアップ、改善されて本公演になっているんだなという演出の裏側が見れてようで個人的にはそこもワクワクしたポイント。

M(エム)入れってつまりはBGMを入れるってことであってたのか?わからない言葉は大体説明があって理解できたけどこれだけは正解がわからなかった。なんとなく動きとかで読み取って理解した気でいたけど、、、。SEとかは全然わかるんだけど、界隈あるあるで特殊な略語とかネットで調べても出てこない。

何回も言うようですが、両部ともに脚本が本当に面白かった。役者さんの演技が乗っかって面白くなる力も今回の公演で感じたけど、とにかく家に帰ってじっくり読み返したいと思わされた。役者が楽しんで演技していたし、観客もストーリーを楽しんで舞台が出来上がっていくのを体感できた。公演後のSNSでは登場する役名の意味が解説されていたり読み解くのもとても楽しい脚本だった。昼の部の脚本は文字からも伝わってくる躍動感がすごかった。夜の部はいつの間にか違う世界線に立たされて、最後はなんだか体の力がフッと抜けるような、それが快感だった。

シンプル疑問なのだが、この舞台のストーリーってどこまで話していいのだろう?そして台本とかって載せていいのか??(全部というわけではないが、、)その辺のルールというか説明がなかったので界隈初心者としては不安であった。

会場がとっても温かみがありよかった。本来は演劇の舞台として使われていない場所だったらしく本人たちは物足りないと感じてそうだったが、個人的にはステージ上にあったパイプオルガンや吊り下がっていた十字架のアンティークが怖さではなく暖かさを演出しているようだった。(私自身巨大物や圧迫感のある物を苦手としてるためそのように感じたのかもしれない)こもり気味に聞こえる音響さえも居心地が良いと感じた。

自身以外の公演の感想をSNSでチェックしていると脚本に書き込んでいるポイントがそれぞれ違ったのでそれを共有できるのも楽しそう。今回は一人で行ったので複数人で行くメリットはここだなと思った。

勢いで公演のチケット取ったとはいえさすがに全く出演者の情報が頭の中に無い状況でいくのは失礼だなって思っていたので各々少し下調べをして向かった本公演。コンテンツを見るとこまでは若干時間が足りなかったが、なんとなく私の頭に叩き込まれた情報では多くの役者が2.5次元舞台にたち内3人ほどは演劇「ハイキュー!!」シリーズに出演していた。また、気になっていた2.5次元舞台の文豪アルケミストにも出演している役者もいたので今後の観劇しに行きたいと生演技を見て思った。

ファンでもなくても、秋沢さんの演技はやはり目が引くものがあった。目というか耳??スッとセリフが耳に入ってくる。声の圧・質がとても舞台とマッチしていた。基本は高めの声なのですが、耳に響くというよりかは届く。そしてクリアで力強い声がよく通る。結局目にも戻るが、目の演技も大事にしているようで細部までフォーカスを思わず当てたくなってしまう。基本は舞台上をぼやっと見たいのだが思わず目が入ってしまうのはこういうところの演技があるからだろうか?

自分的にやっちゃったなと思ったのが、出る側ではないのに演出が面白すぎて思わず脚本にボールペンで書き込みすぎて、役者さんが即対応している姿を何回か逃してしまったことだ。なので、どうにか映像化して欲しいものだ。全部とは言わないが、、、。手持ちのカメラでところどころ撮っていたスタッフさんが一人いたけど、俯瞰カメラとかはなかった記憶。今回の公演を映像化する予定がないのかもしれない。、、、もったいない。

最近はSNSで劇団の稽古の裏側を見せてくれることがあるが、観客を会場に入れてリアル稽古を見てもらうという試みは私自身は初めて見たのでとてもいい経験になった。肌で感じるのは画面で見る世界とは全然違う。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

公演をみた後の熱でザッと書いてしまったので、自分でも理解できない文章はあるし粗っぽいが、とにかく楽しめる公演だった。今後もこのような公演を続けて欲しい!!10月は本公演が行われこちらも自身がよく知る役者が多く出演予定なので見に行きたいと思う。というか、すっかりオクリブにハマってしまったので今後の動きが気になるから絶対行く笑
これ自分の感想全部書き切れたかな?笑 苦い意見もしっかり向き合うという話を本人たちがしていたが個人的にはそんな言葉が出てこないくらい満足だったのでこれからも前向きにこのユニットを続けていってほしい。

2026/04/21
演劇ユニットOctolibre 〜2H ACT〜
<場所>ルーテル市ヶ谷センター
<日時>2026.04/20    14:00〜 18:00〜
<出演>※個人調べ
秋沢健太朗:舞台を中心として活躍する役者。演劇「ハイキュー!!」やミュージカル忍たま乱太郎に出演し、映画「君から目が離せない〜Eyes on you〜」で初主演を果たしている。
小坂涼太郎:舞台を中心として活躍する役者。演劇「ハイキュー!!」や舞台「刀剣乱舞」に出演する、又映画『罪人-つみびと-』で本人が原案・プロデュース・出演をした。
桧山征翔:舞台を中心として役者で活躍する一方で演出家としてさまざまな舞台を手がけている。一人芝居「ブリキの太鼓」などに出演する他、2022年に企画・出演した舞台「わが友ヒットラー」で【第30回読売演劇大賞作品賞上半期ベスト5】に選出されている。
前川優希:舞台を中心としアーティストとしてキングレコードから2026年7月にメジャーデビュー予定。MANKAI STAGE「A3!」や舞台「マーダーミステリー Showcase 5人の証言Ⅱ」に出演している。
松井勇歩:舞台を中心として活躍する役者。劇団Patchに1期生として入団(2023年に退団)。舞台「刀剣乱舞」や「あんさんぶるスターズ!」エクストラ・ステージ に出演する。
<アシスタント>
仏淵和哉:株式会社アプレに所属し、俳優として活躍する一方で演出としても活躍している。佐野竜馬監督『ペインと愛と望』しゅう役(第24回ハンブルク日本映画祭ノミネート)などで出演。
<生演出>
須賀健太 :子役デビューからさまざまな映像作品に携わる一方で舞台に出演したり演出し活躍している。「三丁目の夕日」シリーズで古行淳之介役や演劇「ハイキュー!!」で主演・日向翔陽役などに出演している。
<脚本>
芦沢ムネト:コントトリオ「パップコーン」のリーダー。トリオで活動する一方でソロでひとり芝居OLOSや「フテネコ」作者、SCHOOL OF LOCK!3代目教頭で出演していたりする。